橋梁塗装工 塗膜剥離材引火性(燃焼)実験 |
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引火性実験 目的:塗膜剥剤による塗膜撤去廃材が現場内で発火し橋梁火災になった事例がある。 当現場にて使用剥離剤での剥離済塗料廃材がどの程度、引火性があるかの実験を行う。 ① 実験材料の選定…剥離試験の結果に基づき、塗膜除去率、作業性等のよかった以下の塗膜剥離剤を使用して除去した塗料廃棄物を使用する。 B ハクリタイトエコST D NE-1 ② 引火性・可燃性試験…除去後の塗料廃棄物から可燃性を持つ気化ガスが発生するかどうかの実験をおこなった。 次に点火するきっかけになる火種があれば、そこから燃える可能性の有無とその程度を確認した。 除去後の塗料廃棄物を缶に入れ気化ガスが大気に拡散しないよう、ふたを被せ無風状態する。 このとき発生ガスが大気よりも比重が重いことを考慮し、缶底の塗料廃棄物を隅に寄せ空間を作り、ガスの集積を容易にできるよう工夫した。 |
【密閉状況写真】 左ハクリタイトエコ、右NE-1 |
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缶に入れた塗料廃棄物は、2時間放置(気化ガスの発生を即す)したあと、ふたを開け点火棒を缶の低部位に差し込み点火実験を行った。 |
【ハクリタイトエコST】 | |
点火棒で3回点火したが、引火することは無い。 | |
直接塗料廃棄物に点火すると燃え始めるが、微量の煙と火が出でたあと数秒で消える。 |
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【NE-1】 | |
点火棒で3回点火し、3回目で発火した。燃え始めると、煙と共に火は大きくなり、15秒ほどで全体に火が回った。その後1分以上燃え続ける。 上記実験では小容積の缶を使用し、点火棒にて発火確認を行ったが火種による含有酸素量の低下により発火性の低下が考えられる。 さらに酸素供給状態での実験をおこなった。 鉄板の上に大気中に解放された塗料廃棄物が自然に落ちている状態で火種を近づけ引火するか、また直接点火し、どの程度燃焼するか実験した。 実験に用いる塗料廃棄物は、2材料とも同じ量(縦横3cm程度1枚)をとり、くしゃくしゃの状態を作り、燃えやすい条件下での実験をおこなった。 |
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【着火前写真】 左ハクリタイトエコ、右NE-1 |
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【ハクリタイトエコST】 |
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点火しても、火は小さい。缶内で行った実験同様、直接点火すると燃え始めるが、微量の煙と火が出でたあと1~2秒で消える。 | |
【NE-1】 |
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点火した直後から発火、そのまま5秒燃え続ける。 その後、少しずつ小さくなり15秒ほどで消える。 |
【実験結果のまとめ】 |
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ⅰ |
缶内の発火試験で分かるように、どちらの検体も可燃性ガスの発生は見られない。
(点火棒2回目まで発火はしていない) |
ⅱ |
直接塗料廃棄物に火を近づけた場合(有酸素状態)、どちらの塗料廃棄物にも引火する。 〇ハクリタイトエコSTの場合は既設塗料の油脂等が燃えているように見え、剥離剤が浸透したことによる可燃性の物質は発生していない。また油脂の燃焼を抑止しているようにも見える。 〇NE-1の塗料廃棄物は燃え広がり、その燃焼速度は速く燃焼規模も大きい。塗料廃棄物に何らかの燃焼性の物質に変化していると思われる。※いったん引火すると危険 |
【結論】 当現場の安全管理において、剥離作業中の火器及び、引火の原因となりうる作業は全て禁止(行わない)ことを原則とする。 両検体共に可燃性ガスの発生は見られなかったが、あくまで実験結果であり、現実には事故の起こりうる可能性は拭い切れない。 さらなるリスク軽減のため引火後燃広がることのないと思われる【ハクリタイトエコST】を使用する。 |
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